有吉弘行『夏休み2025』炎上の真相：いじり表現の新基準を考える

2025年9月12日

「時代が変わった」と感じる瞬間は、突然やってきます。

こんにちは、なおじです。

9月6日放送の『有吉の夏休み2025』をめぐる反応を見て、多くの視聴者がそう実感したのではないでしょうか。

13年続く恒例番組で何が起きたのか、なぜ批判が集まったのか。

元社会科教師のなおじが、事実と考察を分けて整理します。

【事実確認】有吉の夏休み2025で何が起きたのか

放送概要と公式情報

9月6日19:00～23:10、フジテレビ系で『有吉の夏休み2025 密着77時間in Hawaii』が放送されました。

2013年にスタートし、今年で13年目を迎える夏の恒例特番です。

今回は新メンバーとして女優の野呂佳代さん（41）が参加。従来のレギュラーメンバーに加わる形での構成でした。

批判の焦点となった内容

複数の報道によると、問題視されたのは有吉弘行さんによる野呂佳代さんへの**「体型いじり」**です。

具体的には：

食べ放題のステーキハウスで満腹を訴える野呂さんに「もっと食べられるだろ？」と発言
体型に関連した言及が番組中で繰り返された
SNSでは「不快すぎた」「ちょっとしつこい」との批判が目立った

フワちゃん問題の影響

番組は2024年に大きな転機を迎えていました。

レギュラーメンバーだったフワちゃんが、やす子さんへの不適切な投稿で活動休止となり、収録済みシーンが全カットされる異例の事態が発生。

この件が今回の批判を増幅させる背景となっています。

有吉弘行のいじりスタイル：変化と現在地

毒舌キャラの変遷

有吉弘行さんは毒舌と辛辣な「あだ名付け」で再ブレイクを果たし、長年テレビの第一線で活躍してきました。

本人も「時代に合わせて毒を和らげる工夫はしている」と語ったことがあります。

今回の特徴と従来との違い

芸能評論家の指摘では、「有吉さんは出演者との信頼関係があるからこそ成立する『いじり芸』の名手」だが、「SNSで番組を部分的に切り取って批判する視聴者が増えた今では、本人の意図や文脈が伝わりにくい」状況が生まれています。

『有吉の夏休み2025』批判の背景分析

SNSでの具体的な反応

Yahoo!ニュースやTwitter上では以下のような声が上がりました：

「不快すぎた」
「時代に合っていない」
「テレビって、まだこんなことを放送しているのか」

時代背景としての価値観変化

2020年代に入ってから、バラエティ全般で「笑いの作り方」そのものが見直されています。

時代錯誤とされる暴力的ツッコミや体型いじりは、これまで当たり前とされてきた「芸風」の範疇を超え、炎上要素に転じることが多くなっています。

茨城の学校現場でも、同様の変化を感じていました。

10年前なら「愛情あるからかい」で済まされた表現が、今では「配慮不足」として指摘されるケースが増えています。

いじり表現の新基準：何がOKで何がNGか

体型いじりがNGになった理由

属性への固執：変更困難な身体的特徴を繰り返し話題にする
同意の曖昧さ：受け手の真意が見えにくい状況での一方的な言及
文脈の欠如：関係性や意図がSNS切り取りで伝わらない
反復の圧力：同じネタを執拗に続けることによる心理的負荷

現場で使える代替アプローチ

属性→行動への転換

NG：「○○さんは大きいから」
OK：「○○さんは食べるのが早いね」

関係性の可視化

事前の合意確認を番組内で説明
「いじられ役」の同意表明を明示
フォローやツッコミ返しの機会を提供

編集での配慮

同じネタの反復を間引く
ナレーションで関係性を補足説明
テロップの形容詞を中立化

番組継続への影響と業界の対応

フジテレビ・制作サイドの現状

現時点で番組公式や制作サイドからの公式コメントは出ていません。

過去のフワちゃん問題では迅速な編集対応を行った実績があり、今後の対応が注目されます。x

業界全体の動向

放送倫理・番組向上機構（BPO）には継続的に表現・演出に関する意見が寄せられており、業界全体で配慮基準の見直しが進んでいます。

有吉弘行さんの今後

過去の炎上経験を踏まえ、スタイルの微調整は続けていくと予想されます。

ただし、根本的なキャラクター変更は視聴者離れのリスクもあり、「配慮と個性のバランス」が課題となるでしょう。

【なおじ考察】テレビいじりの転換点に立って

笑いの「賞味期限」という現実

社会科的に見れば、これは自然な価値観の変化です。

明治期の寄席演芸、昭和の漫才、平成のバラエティと、時代ごとに「笑い」の形式は更新されてきました。

現在は「多様性への配慮」と「エンターテイメント性」の両立が求められる過渡期。

完璧な答えはまだ見つかっていませんが、試行錯誤を重ねながら新しい基準を作っていく段階です。

地域・教育現場からの視点

水戸の中学校で生徒指導をしていた際、「からかい」と「いじめ」の境界線を生徒たちと議論したことがあります。

そこで学んだのは、「受け手の感じ方」と「周囲の反応」が判断基準になるということでした。

テレビも同じ。

視聴者の感じ方が変われば、表現も変わるのが自然な流れです。

なおじの失敗体験：「褒め言葉」の落とし穴

水戸の中学校で30代の青年教師だった頃、苦い経験をしました。

1年生で担任したその女生徒は、友達への批判が多くクラスでトラブルを起こしがちでした。

2年生の時は別のクラス、そして中3で再び担任になりました。
すぐに中学3年生になったその子の雰囲気は一変していることに気付きました。

もちろん、良い方にです。
友を思いやることのできる人間的な成長、心にも余裕が生まれたように見えたのです。

嬉しくなった私は「人間が丸くなったね」と声をかけました。
完全に褒め言葉のつもりでした。

ところが、後日の保護者面談で母親から「うちの子が先生を嫌いになった」と告げられました。

理由を聞くと「『丸くなった』と言われてショックを受けた」とのこと。

彼女にとって「丸い」は「太った」という意味に聞こえ、体型を揶揄されたと受け取ったのです。

こちらの意図と相手の受け取り方が全く違う——まさに今回の有吉さんの件と同じ構図でした。

発言者の文脈と受け手の感情は、しばしば大きくずれるものです。

あの時学んだ「言葉は刃にもなる」という教訓が、テレビの現場でも当てはまることを痛感しています。

建設的な方向性

批判だけでは前進しません。

制作現場には「代替表現の開発」「事前確認の徹底」「編集段階での配慮」といった具体的な対策が必要です。

視聴者側も「なぜ不快に感じるのか」を言語化し、建設的な意見として伝える姿勢が大切だと考えます。

今後の確認ポイントと情報源

一次情報の確認先

番組公式サイト：制作方針・今後の対応
フジテレビ広報：公式見解・改善策
番組公式X：@ariyoshi_yasumi（視聴者との対話）

二次情報の読み方

大手配信記事は論点整理に有効ですが、事実部分（放送内容・公式発表）と意見部分（識者コメント・視聴者反応）を区分して読むことを推奨します。

まとめ

事実：『有吉の夏休み2025』での体型いじりが視聴者の批判を集め、SNSで議論が活発化している。

背景：時代の価値観変化とSNSによる情報拡散が、従来の「いじり芸」を見直す契機となっている。

今後：制作現場の配慮向上と、視聴者の建設的な意見表明により、新しい笑いの基準が形成される可能性。

なおじより
変化を恐れず、でも性急に否定もせず。みんなで新しい「笑い」の形を探していく——そんな姿勢が大切だと思います。批判も擁護も、相手への敬意を忘れずに。

『有吉の夏休み2025』問題について、ご意見やご感想がございましたら、コメント欄でお聞かせください。建設的な議論をお待ちしています。

言葉選び　刃にも花にも　紙一重