
こんにちは、なおじです。
「整いました!」—サウナから出てくる人たちの爽やかな表情を見ると、羨ましくなりますよね。だけど、ちょっと待ってください。その「整う」という快感、本当に体にいいのでしょうか。
元教師として40年以上、生徒たちの健康管理を見てきた私から見ると、サウナブームには気になる点があります。「気持ちいい=健康的」とは限らないんです。
この記事では、サウナで「整う」とはどういう状態なのか、そして知っておくべき危険性について、医学的な根拠とともに解説します。
この記事でわかること
- 「整う」状態の脳内メカニズム
- サウナに潜む4大リスク
- フィンランド式と日本式サウナの決定的な違い
- 安全なサウナの入り方
「整う」の正体—脳内で何が起きているのか

脳内麻薬が分泌されている状態
サウナで汗をたっぷりかき、水風呂に入って体を冷やす。その後、外気浴で休憩。この①サウナ、②水風呂、③外気浴を2~3セット繰り返すと、外気浴中に「恍惚感」を感じます。
これが、いわゆる「整う」という状態です。
体が軽くなり、宙を舞うような浮遊感。五感が研ぎ澄まされ、「悟りを開けるかも」というような感覚。
医学的には、「副交感神経が優位になり、脳内麻薬が出ている状態」と説明されています。
放出される脳内物質
「整う」ときに脳内で放出されている物質は、以下の通りです。
オキシトシン
別名「愛情ホルモン」。ストレスホルモン(コルチゾール)を抑える作用があります。赤ちゃんとスキンシップをする母親や父親に増えるホルモンです。
私も1歳半の孫がいますが、孫と一緒にいるときは確実にこのホルモンが出ています。デレデレ状態ですからね。
β-エンドルフィン
苦痛を緩和する効果があり、モルヒネの約6倍の鎮痛作用があります。
セロトニン
覚醒、精神安定や安心感をもたらします。セロトニン量が低下すると、不安、うつ、攻撃性が表れます。
ドーパミン
快楽を感じさせ、さらなる報酬への期待をもたらす物質です。脳の側坐核から放出されます。
確かに気持ちいい。でも、ここに落とし穴があるのです。
サウナ中毒の危険性—快楽の代償
「整う」は健康的な状態ではない
「整う」という言葉のイメージから、体が調和した状態と思いがちです。
だけど実際は、「調和のとれた状態」から「基準値外へ、身体の状態が偏った状態」なのです。
最も怖いのは、「整う快楽」を求める気持ちが習慣性を持ってしまうこと。
サウナ中毒のメカニズム
β-エンドルフィンは、ドーパミンの放出を促し、その効果を持続させます。
知っておきたいのは、これらの物質で得た快感には、強い中毒性があるという点です。
「サウナジャンキー」「サウナ中毒」を自称する人がいますが、脳の機能的に言えば、脳内麻薬による中毒状態に陥っているということ。
一度「整う」を経験すると、さらに快感レベルを上げたくて、「サウナはもっと高温で、もっと長い時間を」「水風呂は、さらに低温で、こちらももっと長く」と考え出します。
これは非常に危険です。
サウナに潜む4大リスク
リスク①:体温異常
日本のサウナは、高温で乾燥したドライサウナが一般的です。
人の体温は平均36℃前後ですが、高温サウナのために体温が39℃以上になってしまうことがあります。
この状態が続くと、頻脈・不整脈・血圧不安定・低酸素血症などが起こる危険性が高まります。
もし体温が40℃以上になると、致命的な症状を引き起こす危険性があります。
リスク②:血圧異常(超低血圧・超高血圧)
高温のサウナに入ると、血管が拡張して全身の血流が良くなります。
適度なら健康に良いのですが、度を超すと血管が広がりすぎて、超低血圧に陥ります。
普段から降圧剤を飲んでいる人は、十分注意が必要です。
心臓を取り巻く冠動脈が狭くなっている方も要注意。血管内で虚血(組織や細胞に十分に血液がいかない状態)が起こり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
さらに、水風呂に入ると今度は逆に血管が締まり、短時間で急激に超高血圧状態になります。
「水風呂で倒れた」という人は、案外多いのです。
リスク③:脱水症状
サウナに入ると、1回で300~400㏄の水分が失われると言われます。
「1日で体重を2~3キロ落とした」という強者もいますが、これは本当に痩せるのではなく「血管内脱水」という症状を起こしているだけです。
脱水状態の血管内では、血液がドロドロに濃縮された状態になります。
当然、脳梗塞、心筋梗塞、痛風、尿管結石のリスクが高まります。
また、腎臓に血液が行き渡らなくなり、腎臓にダメージを与えるリスクも高まります。腎機能が損傷されると、ほぼ回復しません。
リスク④:血管迷走神経反射
水風呂で最も怖いのが、「血管迷走神経反射」です。
冷たい水の全身浴をすると、副交感神経の迷走神経が一気に活発化します。
それによって、心拍数が急激に低下してしまうことがあります。
最悪の場合、脳に十分な血液がいかず、失神してしまいます。
「水風呂で溺れてしまい救急車のお世話になる」という事例も発生しています。
教師時代、生徒にプールでの安全指導をしてきた経験から言えば、水中での失神は本当に危険です。
日本式とフィンランド式—決定的な違い

本場のサウナは全く違う
「サウナの健康効果」として紹介される医学研究の多くは、フィンランド式サウナによる検証データです。
本場のサウナ文化は、日本のサウナ文化とは実は違っています。
フィンランド人が日本のサウナを体験すると、「日本人は、なんであんなに高温でカラカラのサウナに入っているのか」と驚くそうです。
温度と湿度の違い
日本のサウナ
- 温度:80℃~100℃
- 湿度:低い(ドライサウナ)
- 特徴:入った瞬間「熱い」と感じる
フィンランドのサウナ
- 温度:60℃~80℃
- 湿度:高い(ロウリュ式)
- 特徴:入った瞬間に「熱い」と感じることはまずない
ロウリュ式とは、ストーブの焼け石に時々水をかける形式のサウナです。
水風呂の習慣も違う
フィンランドでは、「サウナと冷水浴を交互に繰り返す」という人はほとんどいません。
サウナの後にシャワーを浴びたり、自然の湖や海に入って体を冷やす人はいますが、どちらかというと少数派です。
安全なサウナの入り方
フィンランド式を参考にする
サウナは、入り方に気をつければ健康効果をもたらします。
そのためには、フィンランド人のサウナ文化を参考にすべきです。
①低温、高湿度のサウナに短時間で
- できれば60℃~80℃のロウリュ式を選ぶ
- ドライサウナなら短時間で切り上げる
②水風呂は段階を踏んで短時間で
- まずぬるめのシャワーから徐々に
- 全身浴ではなく、半身浴から始める
- ぬるめのシャワーだけという手もある
③心拍数を確認する
- 水風呂に入る前に、自分の手首に指を当て心拍数を確認
- 異常を感じたらすぐに中止
④水分補給を忘れずに
- サウナ前後にしっかり水分を摂る
- アルコールは厳禁
こんな人は特に注意
- 降圧剤を服用している人
- 心臓病、脳卒中の既往歴がある人
- 高血圧の人
- 冠動脈が狭くなっている人
これらに該当する方は、医師に相談してからサウナを利用しましょう。
まとめ:Q&A
Q1. 「整う」とは、どういう状態ですか?
A. 副交感神経が優位になり、オキシトシン、β-エンドルフィン、セロトニンなどの脳内物質が分泌されている状態です。気持ちいいですが、体に負担がかかっています。
Q2. サウナ中毒は本当にあるのですか?
A. あります。脳内麻薬による中毒状態に陥り、より強い刺激(高温・冷水)を求めるようになります。
Q3. サウナの健康効果は嘘ですか?
A. 嘘ではありません。ただし、フィンランド式の低温・高湿度サウナによる研究結果です。日本式の高温ドライサウナとは異なります。
Q4. どうすれば安全にサウナを楽しめますか?
A. 低温・高湿度のサウナを選び、水風呂は段階を踏んで短時間で。心拍数を確認し、水分補給を忘れずに。
サウナは正しく利用すれば、心身共によい影響を得ることができます。だけど、「整う」という快感を求めるあまり、体に無理をさせないことが大切です。
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